Staff Room

by chinami

大阪万博で思った香りのこと

猛暑続きで暑かった昨年の夏。まだ少し蒸し暑さが残る10月の初め、大阪万博へ行きました。閉会が1週間後に迫った頃で、大混雑は覚悟の上、人気パビリオンの予約はせず、行き当たりばったりだった割には、ゆったりとたくさん見れたと思います。

万博はよく「パスポートのいらない世界旅行」と言われてますが、なるほど、旅好きな私にとってはとても満足する滞在でした。

待ち時間3時間!という国は極力避け、1時間強ぐらいで入れそうな、そして行ったことのない国を敢えて選ぶことにしました。興味もあいまって、それは、ほぼ中東の国々でした。

UAE、チュニジア、トルコ、サウジアラビア...

商品は扱っていても、行ったことのない国々。

そこで出会う文化、特に道具や装いに興味津々。

そして何より一番私を惹きつけたのは、各国の「香り」でした。

中東は香木、香水の原産国が多く、各パビリオンは贅沢な香りに包まれていました。

 

一番は、チュニジアのジャスミン。

本物のジャスミンがカーテンとなって長く繋がり、パビリオンの外まで香っていました。

ジャスミンはこれまで商品でも多く扱ってきたけれど、これほど大量の本物の香りに包まれる経験は初めてです。

むせるような、濃厚で高貴な香り。

静かな夜に咲くジャスミン、魅惑的なその香りが心を満たしていきました。

ここ数年で、日本人の香りに対する感じ方も大きく変わってきていると思います。

以前から爽やかな柑橘やマリン系、優しいフローラル、パウダー系が好まれてはいますが、

最近はムスク系や香木などの強く深い香りも人気です。

ジャスミンなどに代表される強いお花の香りもです。

もちろん、中東と日本では気候も違うので、味覚と一緒で感じ方も違うでしょうが、

その空間の中で感じた香りの記憶は忘れられません。

今でも純度の高いジャスミンのキャンドルなど嗅ぐと、あのチュニジアへ心が飛びます。

香りってすごいです。想像力をかき立てる、思い出が蘇る最高のツールです。

その晩はちょうど満月。

まるで異国のエキゾチックな香りを感じる旅をしたようでした。

 

次回万博開催はサウジアラビア。

今からどうやったら行かれるのか、密かに計画中です。笑

 

 

by chinami

星になったBossaの巨匠

ここ数年で大好きなミュージシャンがたくさん旅立ってしまった。今年のセルジオ・メンデスも悲しかったな。ブラジル音楽を牽引し、いえ世界のジャズ、ポップス界にも大きな影響を与えた巨匠。

誰でも知っている代表曲   ♪「マシュ・ケ・ナダ」

私がこの曲に初めて出会ったのは、たぶん小学2年生、エレクトーンを習い始めた頃。

大人のお兄さんお姉さんが、この曲を弾いていた。なに?このリズム!ラテンってなに?どこの国の音楽!?

おそらくこれが、初めて聴いたサンバ、ボサノバとの出会いだったと思う。

当時エレクトーン(ヤマハ)の教本には多くの映画音楽や、ジャズの名曲がたくさん登場していた。私は幼いながらそれらにとても興味があって、大人の素敵な曲をいろいろ知っているおマセな子供だった。

だから、子供向けのレッスン曲につまらなさを感じて、あんなカッコイイ曲を弾いてみたいな〜いつもそう思っていた。

その後「セルジオ・メンデス&ブラジル’66」のレコードを聴いてみた。なんてなんて素敵!

アンニュイなメロディーが軽快なリズムにのって、大人っぽくゴキゲンな音楽!

そこからすっかりブラジルミュージックの虜になってしまった。

 

 

セルジオは作曲、演奏のみならず、プロデューサーとしても才能を発揮してくれた。

晩年では若いヒップホップミュージシャンとコラボして、アルバムのタイトル通り「タイムレス」な世界を作り出し世界中で絶賛された。音楽のジャンルを超えて、ブラジルのサンバボサノヴァをワールドワイドな音楽にした先駆者、功労者でしょう。

 

 

セルジオの陽気で寛容なお人柄も、世界中で人気者になった由縁なのかな、と思う。

女性にも相当モテたらしく?ブラジル音楽通の方に教えてもらったびっくり話がある。

セルジオは何度も来日していて、私もライブを聴きに行きましたが、

いつもバックには数人の美女コーラル隊を従えていた。

そのメンバーは なんと元奥、元カノさんがミックスしているのだとか...

なのにハーモニーは素晴らしい。さすがです、セルジオ!!!

 

今でも多くのミュージシャンにカバーされ続けるセルジオ・メンデス。

いつ聴いてもカッコよくゴキゲンな気分を届けてくれて、ありがとう。

星になってよりいっそう輝くセルメン。

心から感謝します。

新年には追悼と尊敬を込めてBGMで特集しようと思います。

 

by chinami

オリンピック開会式フェチ

いよいよパリ五輪が開催となりますね。

100年振りのパリ開催ということで、 フランスの方々はもちろん、世界中の人々が楽しみにしていることでしょう。

セーヌ川での開会式って一体どんななんでしょう。各国の入場行進がボートでって!?

何を隠そう私はオリンピック開会式が大好き!楽しみでなりません。

 

競技はパリの名所で行われるとのこと。

ビーチバレーはエッフェル塔、馬術はベルサイユ宮殿、フェンシングはグランパレ、スケートボードはコンコルド広場、などなど...

歴史的にも貴重な場所を惜しげもなく競技場にしてしまうフランスの懐の深さ!

「パリの街中が競技場」というコンセプトのセンスに脱帽です。

花の都パリの魅力たっぷりな五輪になることでしょう。

 

環境への考え方ですごいと思うのは、トライアスロン スイムが行われるセーヌ川をオリンピックが終了した後も「泳げるセーヌ」として維持しようという取り組み。

多額な費用は主にそこに費やしているようで、それならばパリ市民の納得と協力が得られるのでは、と思います。

 

話を開会式に戻します。

オリンピックの開会式ほどその国の文化、歴史、スピリッツを打ち出すセレモニーはありません。

開会式のパフォーマンスに意義を唱える方もいるけれど、いいじゃないですか『お国自慢!』大いに見せてほしいのです。

毎回どんな演出なのか、特別な興味を持って見ています。

ここ最近の開会式演出で感動したのは、

2008 北京開催の歴史絵巻を観るかのような壮大な映像、映画監督チャン・イーモウの演出でした。美しかった。

2012ロンドン開催ではスタジアムに再現された田園風景の中で繰り広げられるシェークスピア劇の世界。ブリティシュスピリッツのようなものが溢れていた。

2016リオデジャネイロ開催は音楽的にもパラボッサ的にも感動ものでした。ボサノヴァの名曲「イパネマの娘」をジョビンの息子が奏でるピアノが流れる中、ブラジルのトップモデルが海岸を颯爽と歩いてゆく演出。シビレました。

 

 

開会式は、最大の自国プレゼンテーションの場です。

オリンピック開会式といえば各国の入場行進!これも大好き!全部見ます!かなりの長時間ですが。笑

国名のプラカードを持つ人の衣装は要注目。

2018冬季の平昌(ピヨンチャン)の雪の精ような衣装は素敵でした。

各国選手団のユニフォームは、民族衣装や伝統柄がアレンジされていたり、自国有名ブランドだったり、楽しいものです。

 

衣装も注目ですが、選手たちの晴れやかな表情を見るのが好きです。元気をもらえます。

そして、選手が一人だけの小さな国が入場してきたりすると泣けてきて、そっと「頑張って」と呟きます。

時差で終了が明け方になる頃には、すっかり感動の嵐。笑

 

今、フランスは政治的にもニューカレドニアの民族問題等があり、また戦争を取り巻く世界情勢は一向に良くなってはいません。

それでもスポーツを通して世界中の人たちが他国に注目し、他国の選手や人々に、他国の文化や精神に興味を持てる機会は、やっぱりオリンピックだと思います。

それぞれの国を認め、讃え合えたらどんなにいいか、

そう強く願いながら、パリ五輪開会式を指折り待ちます。

どうかテロなどなく無事に開催進行されますように。

 

 

✳︎只今パラボッサではパリ五輪を祝し、フランスコーナーを特設しています。

フランスのアロマ各社がオリンピック記念の商品を打ち出しています。

トリコロール色のパッケージ、特別にブレンドされたオードトワレやミストなど、

香りでフランスの各地を旅できます。ぜひお試しください。

 

by chinami

アストラッドに感謝して


ボサノヴァのミューズ、象徴とも言えるアストラッド・ジルベルト。

今年6月5日、83歳でその生涯を閉じました。

”そよ風のように歌う” アストラッドの歌声は一世を風靡し、ボサノヴァを日本でも流行らせました。

♪「イパネマの娘」が一番有名ですね。

当店名のパラボッサ「ParaBossa」はポルトガル語で「ボサノヴァのように」という意味です。

たまに「なぜそのような店名にしたの?」と聞かれます。「ボサノヴァが好きだからです」と答えます。(笑)

本当に昔から好きなので、シンプルにはそんなお答えなのですが、実はボサノヴァには色々な要素が詰まっていて、25年前にお店を始めた頃のコンセプト、指針のようなものが集約されています。

洗練、オシャレ、くつろぎ、優しさ、あたたかさ、懐かしさ、カッコ良さ、大人な、さりげささ...

ボサノヴァにはこれらの感覚が凝縮されているので、そんなお店にしたくて「ParaBossa」と名付けました。

 

アストラッドの歌声は今聞いても全く色あせない。クールで甘く、私にとってはいつもそばにいて欲しい音楽です。

その囁くような歌声や可愛いお顔立ちから、無邪気でおっとりとした印象を持たれるアストラッドなのですが、私は意外と意思が強く、ちょっと頑固なのでは?と感じています。(笑)

こんなエピソードがあります。

アントニオ・カルロスジョビンが作曲した名曲「イパネマの娘」。ブラジル、イパネマ海岸を歩く素敵な女性への想いを込めヴィニシウス・ヂ・モライスが作詞しました。

当然ポルトガル語の歌詞なのですが、アストラッドは英語で歌いたい!と主張したのだそうです。

その後、世界中でヒットすることになったこの曲は、60年代当時なんとビートルズのあの名曲「yesterday」に次ぐセールスを記録したそうです。

アストラッドはたくさんの英語バージョンのボサノヴァ名曲を残してくれました。

 

サラッと気楽に歌っているようで、実は結構強い意思と、独自のスタイルを守る強さを感じずにはいられません。カッコいいです。

私もそんな女性になりたい。そしてお店もそんな風であれたら、と思います。

 

星になったアストラッド。今頃は元夫ジョアン・ジルベルトの隣で仲良くデュエットしていて欲しいな、と願います。

by chinami

消えてしまいそうなホーチミンの刺繍屋さん


4年ぶりにベトナム・ホーチミンシティへ行ってきました。

毎年買い付けに訪れていたホーチミン。コロナ禍で3年のブランクが空きましたが、数えてみると今回で通算18回ぐらいお邪魔しています。

久しぶりに訪れたホーチミンは想像以上に変わっていました。

ただでさえ、たった一年で激しく変化する街ホーチミン。(去年そこにあったはずのお店が、今年は隣の通りに引っ越していた!なんてことはしょっちゅう!)

大きな変化は、UNIQLOや無印良品など日本のブランドが出店され、お寿司屋さん、居酒屋が増えていました。(「北海道」という看板をたくさん見ました。)

未だに工事中ではありますが、地下鉄の新設を日本の建設会社が担っているということで和食屋さんが多くなったようです。

 

ショッピングモールではK-Popが流れ、韓国のキュートなお洋服もたくさん。

(女の子たちのファッションも韓国のモードに影響されているように感じました。)

時々あれ?ここどこの国だっけ?と思ってしまいます。もうどこの国も、アジアの都会は同じような様相です。

ベトナムは今、日本とは真逆で若者人口の割合が多い国。(国民の平均年齢31歳!)

経済もIT関連も急成長しています。今回も買付けに必要な商品明細は、どこのお店でもiPhoneのAirDrop 機能での受け取りでした。(ペーパーレス!)

 

そして、その代わり無くなってしまっていたのは、手仕事の商品を売るお店。

 

「洋裁の国、手芸の国」とも称されるベトナムは、テーラーや、お針子さんを抱えたお店が多く、質の良いオーダーメイドのお洋服を2、3日で仕上げてくれました。

そもそも私がベトナムに惹かれたのは、丁寧で器用なベトナムの人々の手から生み出される作品。特にベトナム刺繍に取り憑かれたからでした。

 

以前は、街のそこそこで『刺繍屋』さんを見かけました。

家族経営の小さなお店が多く、店の奥では、おばあちゃん、娘さん、お孫さんらがテーブルを囲んで仲良く刺繍をし、その横ではおじいちゃん達が碁を打っていて、傍には犬が気持ちよさそうに寝ている、そんなのどかな風景がありました。

お願いしておくと、帰国する日までに刺繍を仕上げてくれ、イニシャルを入れてくれたりしました。

今回、昔から通っている刺繍やさん「Ha Phuong(ハ フーン)」を尋ねると、

50代の美人オーナーのハンさんは、涙を浮かべて「もうウチぐらいしかこういう店はないのよ、みんな辞めちゃった」と。そしてハンさんも「店を閉めようかと迷ったけれど、こうして昔から来てくれる方がいるから」と。思わず二人で泣きました。

コロナ禍で営業が難しくなったこと、刺繍の職人が居なくなってきたこと、プリントの商品が増え刺繍の需要が少なくなってきたこと...刺繍やさんが無くなってゆく理由は様々です。

私はものすごく大切なものが失われてゆく危機を感じました。

↓この刺繍は地味ながらとても手が混んでいます。カットワーク刺繍と言って一本一本糸を抜いてゆく細か〜い手法です。これができる職人はもう本当に少ないのだそうです。

美しいベトナム刺繍を残して欲しい、続けて欲しい、願わずにはいられませんでした。

 

昔の懐かしくて、のどかで、フランス植民地時代のエレガントな文化が残るホーチミンはもうないのかもしれません。

それでも、ベトナムの手仕事が好きだから、水牛の角やシェルの小物も大好きだから、何より人懐こい笑顔の優しい人たちが好きだから、私はまたホーチミンを訪れると思います。

常夏の蒸し暑さに耐える体力があるうちは、頑張ってベトナム買付けを続けます(笑)

 

只今、店内にて買付けしたベトナムの商品、手刺繍のプレースマット、バッグ、クッションカバーなどをご覧いただけます。

   

 

Category

Monthly