ボサノヴァのミューズ、象徴とも言えるアストラッド・ジルベルト。
今年6月5日、83歳でその生涯を閉じました。
”そよ風のように歌う” アストラッドの歌声は一世を風靡し、ボサノヴァを日本でも流行らせました。
♪「イパネマの娘」が一番有名ですね。
当店名のパラボッサ「ParaBossa」はポルトガル語で「ボサノヴァのように」という意味です。
たまに「なぜそのような店名にしたの?」と聞かれます。「ボサノヴァが好きだからです」と答えます。(笑)
本当に昔から好きなので、シンプルにはそんなお答えなのですが、実はボサノヴァには色々な要素が詰まっていて、25年前にお店を始めた頃のコンセプト、指針のようなものが集約されています。
洗練、オシャレ、くつろぎ、優しさ、あたたかさ、懐かしさ、カッコ良さ、大人な、さりげささ...
ボサノヴァにはこれらの感覚が凝縮されているので、そんなお店にしたくて「ParaBossa」と名付けました。
アストラッドの歌声は今聞いても全く色あせない。クールで甘く、私にとってはいつもそばにいて欲しい音楽です。
その囁くような歌声や可愛いお顔立ちから、無邪気でおっとりとした印象を持たれるアストラッドなのですが、私は意外と意思が強く、ちょっと頑固なのでは?と感じています。(笑)
こんなエピソードがあります。
アントニオ・カルロスジョビンが作曲した名曲「イパネマの娘」。ブラジル、イパネマ海岸を歩く素敵な女性への想いを込めヴィニシウス・ヂ・モライスが作詞しました。
当然ポルトガル語の歌詞なのですが、アストラッドは英語で歌いたい!と主張したのだそうです。
その後、世界中でヒットすることになったこの曲は、60年代当時なんとビートルズのあの名曲「yesterday」に次ぐセールスを記録したそうです。
アストラッドはたくさんの英語バージョンのボサノヴァ名曲を残してくれました。
サラッと気楽に歌っているようで、実は結構強い意思と、独自のスタイルを守る強さを感じずにはいられません。カッコいいです。
私もそんな女性になりたい。そしてお店もそんな風であれたら、と思います。
星になったアストラッド。今頃は元夫ジョアン・ジルベルトの隣で仲良くデュエットしていて欲しいな、と願います。