4年ぶりにベトナム・ホーチミンシティへ行ってきました。
毎年買い付けに訪れていたホーチミン。コロナ禍で3年のブランクが空きましたが、数えてみると今回で通算18回ぐらいお邪魔しています。
久しぶりに訪れたホーチミンは想像以上に変わっていました。
ただでさえ、たった一年で激しく変化する街ホーチミン。(去年そこにあったはずのお店が、今年は隣の通りに引っ越していた!なんてことはしょっちゅう!)
大きな変化は、UNIQLOや無印良品など日本のブランドが出店され、お寿司屋さん、居酒屋が増えていました。(「北海道」という看板をたくさん見ました。)
未だに工事中ではありますが、地下鉄の新設を日本の建設会社が担っているということで和食屋さんが多くなったようです。
ショッピングモールではK-Popが流れ、韓国のキュートなお洋服もたくさん。
(女の子たちのファッションも韓国のモードに影響されているように感じました。)
時々あれ?ここどこの国だっけ?と思ってしまいます。もうどこの国も、アジアの都会は同じような様相です。
ベトナムは今、日本とは真逆で若者人口の割合が多い国。(国民の平均年齢31歳!)
経済もIT関連も急成長しています。今回も買付けに必要な商品明細は、どこのお店でもiPhoneのAirDrop 機能での受け取りでした。(ペーパーレス!)
そして、その代わり無くなってしまっていたのは、手仕事の商品を売るお店。
「洋裁の国、手芸の国」とも称されるベトナムは、テーラーや、お針子さんを抱えたお店が多く、質の良いオーダーメイドのお洋服を2、3日で仕上げてくれました。
そもそも私がベトナムに惹かれたのは、丁寧で器用なベトナムの人々の手から生み出される作品。特にベトナム刺繍に取り憑かれたからでした。
以前は、街のそこそこで『刺繍屋』さんを見かけました。
家族経営の小さなお店が多く、店の奥では、おばあちゃん、娘さん、お孫さんらがテーブルを囲んで仲良く刺繍をし、その横ではおじいちゃん達が碁を打っていて、傍には犬が気持ちよさそうに寝ている、そんなのどかな風景がありました。
お願いしておくと、帰国する日までに刺繍を仕上げてくれ、イニシャルを入れてくれたりしました。
今回、昔から通っている刺繍やさん「Ha Phuong(ハ フーン)」を尋ねると、
50代の美人オーナーのハンさんは、涙を浮かべて「もうウチぐらいしかこういう店はないのよ、みんな辞めちゃった」と。そしてハンさんも「店を閉めようかと迷ったけれど、こうして昔から来てくれる方がいるから」と。思わず二人で泣きました。
コロナ禍で営業が難しくなったこと、刺繍の職人が居なくなってきたこと、プリントの商品が増え刺繍の需要が少なくなってきたこと...刺繍やさんが無くなってゆく理由は様々です。
私はものすごく大切なものが失われてゆく危機を感じました。
↓この刺繍は地味ながらとても手が混んでいます。カットワーク刺繍と言って一本一本糸を抜いてゆく細か〜い手法です。これができる職人はもう本当に少ないのだそうです。
美しいベトナム刺繍を残して欲しい、続けて欲しい、願わずにはいられませんでした。
昔の懐かしくて、のどかで、フランス植民地時代のエレガントな文化が残るホーチミンはもうないのかもしれません。
それでも、ベトナムの手仕事が好きだから、水牛の角やシェルの小物も大好きだから、何より人懐こい笑顔の優しい人たちが好きだから、私はまたホーチミンを訪れると思います。
常夏の蒸し暑さに耐える体力があるうちは、頑張ってベトナム買付けを続けます(笑)
只今、店内にて買付けしたベトナムの商品、手刺繍のプレースマット、バッグ、クッションカバーなどをご覧いただけます。